俺様上司は溺愛体質!?

 それから二週間ほど経ったある日の朝。
 業務開始前にパソコンを立ち上げると、個人的に社内メールが届いていた。

「ん?」

 メールを開くと人事からの呼び出しである。

(私何かしたっけ!?)

 人事に呼び出されるような身分でないのは自覚している。仮に呼び出されるとしたら、悲しいかな解雇だとかそんなマイナス要素しか思いつかない。

(タエちゃんっ、どうしようっ!!)

 とっさに友人に助けを求めようとしたが、細布子は営業部事務のホープなので、デスクに着くや否や営業の社員にあれこれと仕事を頼まれていた。
 仕方なく一人でトボトボと人事部へと向かう。

「失礼します……」

 蚊の鳴くような声で声をかけると、一番奥の人事部長が笑顔で立ち上がり、ちとせを手招きした。

「萩原さん、こっちだよ」
「は、はいっ!」
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