俺様上司は溺愛体質!?
「いやぁ、おめでとう、萩原さん。私も真屋君から君の名前を聞いた時はなかなかどうしてびっくりしたけど、個人的にはどうなるか楽しみだよ。頑張ってね」
「あの……」

 やはり何を言われたのか分からない。

 だが真屋時臣はなんのその、ちとせをおいてけぼりのまま人事部長と一緒にてきぱきと処理を進め、ぽかんと口を開けたまま立ち尽くすちとせに封筒を差し出した。

「異動に伴うあれこれがここに入ってますから、よく読むように」
「……はい」

 封筒を受け取ってしまった。

 自分でも気づかないうちに大きなミスをして解雇ですという展開にならなかったのは万々歳だが、希望も出していないのに異動させられるとなるとやはり戸惑わずにはいられなかった。

(真屋時臣、いったい何を考えているの?)

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