俺様上司は溺愛体質!?
 突然現れた伝説の販売員に感心するちとせをよそに、彼は肩をすくめ大きくため息をついた。

「でもまー、ビックリだよね。いきなりにもほどがあるってゆーか」
「阿部さんもいきなりなんですか?」
「うん、そうだよ。てか、タメ口でいいよ。ちとせのが年上でしょ?」
「あ、うん。二十六だから」
「ボクのが四つ下だ。普通に潤でいいからさ。これからよろしくね」

 人懐っこさが人間の形をとったような阿部潤と一緒に、ちとせは第三企画販売営業部のある二十八階に降りた。



「第三企画販売営業部……あ、あそこだよ。ドアにプレートがある」

 二十八階は元々会議室として使われていたフロアなのだが、その一部分を改装したらしい。
 部屋の区切りだったパーテンションがいくつか取り払われ一つの部屋になっている。
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