俺様上司は溺愛体質!?

『ただ量がすっごく多くてさ。取りに来てくれる?』
「わかった。すぐ行くね」

 受話器を置いて立ち上がるちとせ。

「ちょっと営業部に書類取りに行って来る」
「うん」

 うなずく潤だが、ふと気づいたようにちとせをまじまじと見つめた。

「動作が優雅になってる」
「え?」
「立ち上がるとき気を配ってるでしょ」

 今までのようにガタンと勢いで立ち上がればガーターがずれてしまうので、気をつけただけなのだが、潤の言葉は素直に嬉しかった。

「そうかな〜。あ、もう少しでいい女になれそうな感じ?」

 半分照れ隠しもあって、わざとらしく肩をすくめはにかんで見せると、
「あ、今なんかイラッとしたぁ〜撤回するねっ」
 と、あっけなく撃沈してしまった。
 いい女への道は未だ遠いらしい。
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