俺様上司は溺愛体質!?
(あの人、憂鬱そうな顔してるな……。)
十六才のちとせが初めて彼の存在を知ったのは、高校に入学したての春のことだった。
いつも同じ場所に立っていて、その視線はいつも車窓の外だった。
見たことないくらいかっこよくて、目を引いたのは当然だけれど、それ以前に彼の目が気になった。
初めは通勤ラッシュがブルーなのだと思っていた。
朝の電車の混み具合ときたらもはや暴力で、ちとせも難儀していたから。
けれどそうじゃないと気づいたのは、同じ電車でもひどく機嫌が良さそうな日に遭遇したからだ。