俺様上司は溺愛体質!?
けれどある日を境に、彼はどんどん憔悴し始めた。
暗い顔。暗い目。
憂鬱を通り越して、病気ではないかと疑ったちとせは、何とか彼に元気を取り戻して欲しいと思うようになっていた。
(そう……だから私は、意を決して告白したんだ。彼を元気付けるために、恋人にならなければならないとおかしな思い込みをしたから……。)
彼の後を追って電車を降りた。
「あの、すみません!」
改札の手前で彼の腕をつかんだ。
怪訝そうに振り返った彼は、ちとせを見下ろして首を傾げた。
「なんですか」
低い声。でも想像していた通りの声だった。
「私……」
あなたのそばにいたいです。
何もできないかもしれないけど、それでも。
あなたの力になりたいんです。
うるさいくらい想いが溢れてくるのに
思う言葉は口をついて出ない。