俺様上司は溺愛体質!?

「だから、わ、わたしと付き合ってください!」

 それだけ言うのが精一杯だった。

 彼はじっとちとせを見つめ、どこか自嘲するように唇を歪め吐き捨てたのだ。

「俺はいい女としかつきあわないから」

 拒絶されたと気づくのに数秒かかった。

 改札を出て行く彼。
 遠ざかる背中。

(あ、そうだ。今まですっかり頭からぶっ飛んでたけど、真屋時臣が降りた駅って、プレズィール本社の最寄駅だ……そっか……。)

 夢の中でちとせは泣いていた。

(私、ほんと思い込み激しくて、バカだなぁ……。真屋さんだってそりゃ困るよね。いきなり知らない女子高生から、だから私と付き合ってってね……そもそもだからってなんだよー……理由はないのかよー全部ぶっとばしてるよー……無理無理……無理……。絶対……。)
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