俺様上司は溺愛体質!?
大きな手がちとせの頬にかかる髪をかき分け、後ろに流す。
そして頬を傾けた真屋時臣の唇が、ちとせの唇に重なった。
優しい感触にちとせの全身が震える。
確かに酔っているがこれが夢じゃないことはわかる。
触れるだけのキス。
けれど間違いなく二人の唇は重なっている。
「な、んで?」
「さぁな。前回に引き続き、なんとなく……かもな」
「な、なんとなく……で……二回目ですか」
なんとなくでキスするなんてひどいと思ったちとせだが、相変わらず真屋時臣がどこか寂しそうな顔をしているので、責めるような言葉を吐けなくなる。
(そうだ。真屋さんは私のことわかりやすいっていうけれど、真屋さんだって、たまにだけどすごくわかりやすいんだ……。)