遅刻魔の遅刻理由*短編*
「―――あちゃー、見つかっちゃいました」
「見つかったじゃないよ、毎度毎度あたしに迷惑をかけないで」
残念そうに言った後輩に冷たく言い放ち、あたしは彼の腕をつかんで音楽室に向かう。
あーあ、今ごろ合奏始まってるだろうな。
「もういい加減遅刻しないで部活に顔出してくれない?あたし毎回合奏の始め出れないんだけど」
ため息混じりに言うと大人しく引きずられていた後輩が突然立ち止まった。
ちょっと?そう言ったあたしの声は軽くキレている。
それでも彼は頑として足を動かそうとせず、足の代わりに口を動かし出した。
「遅刻するな?それは出来ませんねー」