小話置き場
「う、うええ〜……好きぃ……」
「……僕も好きだよ」
「どんどん気持ちが重くなってく…….先輩が足んない……」
「好きなだけ欲しがりなよ。君のものだ」
首を横に振る。ちがうよ。ダメだよ。
先輩は私のものじゃない。先輩は先輩のものだ。
「……君が欲しいって言うんなら、この身体も心も、ぜんぶ君にあげるよ」
狂おしくて、ひたすら甘い。
熱のこもった瞳が、私を見つめた。
「怖くないよ、百合。足りなくなったら、その度に言えばいい。君が好きだって言ってくれるだけ僕は嬉しいし。今だって、君はずっと君のままだよ。強くてまっすぐで、綺麗な百合のままだ」
優しくて穏やかな、先輩の声。
言い聞かせるようなその言葉たちが、私の心を柔らかく包む。
「未来の僕が、絶対君のもとから離れないって約束はできない。けど今、僕は絶対離れたくないって、離したくないって思ってる。……どうやったら、君は安心してくれる?」
どうやったら………。
ちょっと考えて、だけど何も浮かばなかった。
どうやったら、先輩とずっと一緒にいれるって安心できるんだろう。
もしかしたら、そんな方法ないのかもしれない。
こんなの、相手を信じる以外、できることなんかないのかもしれない。