小話置き場



『百合以外どうでもいい。百合がいてくれればそれでいい』



これが彼の言い分である。


いやまあ私だって、先輩が私以外の女子に異性的な意味で興味持ったら困るよ。社会的動物だとかそんなんどうでもいいから別れないでほしい。泣く。


だけどさ、このままじゃどうかとも思うわけですよ。


だから私は言った。『私以外の人にも目を向けてみるべきだと思います』と。


彼は私のことを好きになってから、興味が私一直線というか、他の人が眼中にない感じが明らかだ。


だからもうちょっと視野を広げて欲しくて、そう言った。もちろん『私以外の人』というのは女子も含まれている。


彼は私の助言に素直に従っただけだ。なんにも悪くない。


そのはずなのに、私という野郎は……。


「おバカだねー、マルちゃん」

「……わかってますよ……」


自分で言ったくせに。


実際に汐見先輩が自分以外の女子と話してるのを見たら、モヤモヤしちゃうんだもんな。どうしようもないやつだ。



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