小話置き場
「あり得ないことだけど。僕が君のこと好きじゃなくなったら、どうする?……君のこと好きじゃない僕は、いらないって思う?」
私は衝動的に、彼に抱きついた。慌てた様子で抱きとめられる。
私は胸の奥がぐちゃぐちゃになった気持ちだった。息が苦しい。喉の奥が痛い。
声がまた震え始める。涙のせいなのか、自分への怒りなのか、わからなかった。
「追いかけます。今度は私から、先輩に告白します。断られても、それでも、がんばります」
力任せに彼を抱きしめた。
ごめんなさい。不安にさせてごめんなさい。
私は、『私のことを好きな先輩』しか知らない。だから、もしそうじゃない彼を目の前にしたとき、どうしようって不安だった。
……どうするかなんて、もう決まってるのに。