小話置き場


「あり得ないことだけど。僕が君のこと好きじゃなくなったら、どうする?……君のこと好きじゃない僕は、いらないって思う?」


私は衝動的に、彼に抱きついた。慌てた様子で抱きとめられる。


私は胸の奥がぐちゃぐちゃになった気持ちだった。息が苦しい。喉の奥が痛い。


声がまた震え始める。涙のせいなのか、自分への怒りなのか、わからなかった。



「追いかけます。今度は私から、先輩に告白します。断られても、それでも、がんばります」



力任せに彼を抱きしめた。


ごめんなさい。不安にさせてごめんなさい。


私は、『私のことを好きな先輩』しか知らない。だから、もしそうじゃない彼を目の前にしたとき、どうしようって不安だった。


……どうするかなんて、もう決まってるのに。




< 51 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop