小話置き場
「……ありがと。最近さ、僕のこと避けてたでしょ。君の誘い断ってクラスメイトの方優先したから、怒ったのかと思って。全然寂しいって言ってこないし、君。僕がいなくてもやっぱ平気なのかなって、ちょっと思ってた」
彼の話を聞きながら、さらにぎゅううと抱きつく。先輩が私を抱きしめ返しながら、耳元で苦笑いするのがわかった。
私がいなくても、先輩は平気なんだって思ってた。私は平気じゃないのに。
自分勝手にこの人を不安にさせていた。私が安心したいからって。先輩も怖くないはずないのに。
「子供でごめんなさい……」
「いいよ、もう。君の気持ちもわかったし。ただ、やっぱり気持ちは僕の方が重いから、僕はいつも怖いよ。情けないけど。嫌われたくない。だから君にはいつも甘くなる。……それで君を困らせてるかも。ごめん」
私はふるふると首を横に振った。
それでなくとも私の愛情表現は思春期の中学生男子並みに回りくどくてわかりにくいのに、想うのに慣れてない先輩が不安にならないはずがない。
圧倒的に言葉が足りていないのは、たぶん私の方だ。