小話置き場
色が少し違う。
目を凝らさないと見えないけど、微妙に違う。周りの青よりずっと、まっさらな群青。真白がよく映える彼女に、俺は憧れた。
不器用な子だった。
壁にぶつかると、その度に真剣に悩む。難しいことでもくだらないことでも、頭の中をぐるぐる巡らせて考えていた。
もっと要領よくやれるだろうに、変なところで妥協を許さない。かわいそうなほど真面目。
正直な子だった。
余程のことがない限り、嘘はつかない。日々の中で、嘘なんかつく必要ないと思ってる。人付き合いのために自分を偽ったりしない。嬉しいときは嬉しいと言う。悲しいときは落ち込んだ顔をする。面倒なときは面倒と愚痴る。
彼女の振る舞いはいつも心に正直だ。その不器用さを隠すこともしない。無理矢理他人に自分を合わせようとはしなかった。