小話置き場
僕らのブルー - moratorium blue -
あの夏に還りたい。
無性にそう思うようになったのは、いつからだろう。
高校を卒業して、麗奈ちゃんや慎ちゃんと会えなくなってから?
つまんない大学生活に飽きてきて、どこか遠くへ行きたいなあと思うようになった去年の春くらいから?
それとも、結局遠くなんか行く勇気もなく、夜の街をふらふら彷徨い歩くくらいしかできない自分に気づいた、今年の春からーー?
わからない。
『あの夏』というのが、一体いつの頃なのかもはっきりしない。
ただただ最近、あの泣きたくなるような愛しさと、もどかしい焦燥感に包まれていた眩しい夏が恋しくて仕方がないのだ。