あの音を忘れない
「みーかーどっおはよーー♪」
横から割ってはいってきたのが
兄の晃(ひかる)。
茶髪のパーマヘアの中から
ちらっと見えるピアスが
顔立ちを余計目立たせる。
「なに?どーしたの?二人して朝から」
「お兄ちゃんなぁーーー
CDデビューがきまったんだ♪」
「は?」
朝から冗談は辞めてほしい。
確かに兄貴は学生のころ軽音部でずっと
ベースしてて 地元じゃ少し有名な
バンドだったが、たかが田舎バンド。
CDデビューなんて夢のまた夢。
「どーせ自分でパソコンからおとして
CDにいれたんだろ」
キッチンに置かれてた食パンを手に取る。
やっぱり食パンはマーガリンと苺ジャムだ
「それがなーー違うんだよ!!!
正式にデビューってやつかな♪」
一気に甘味が無味にかわる。