甘く苦い、毒牙に蝕まれて
「まひろちゃん、帰ろう」
この日の放課後。
真守くんと一緒に帰る事になった。
お昼休みを一緒に過ごした時に、帰る約束をしてしまったから。
「また明日な、まひろ」
「うん、また明日……」
万桜に手を振って、教室を出た。
「真守くん、明日からは私、友達と登校する事にしたから」
帰り道で、一緒に登校できない事を伝えた。
あえて万桜の名前は伏せた。
「友達って……あの子?」
でも、見透かされてる。
私は微かに頷いた。