甘く苦い、毒牙に蝕まれて




まひろちゃんは少し名残惜しそうな顔をしつつ、カバンからお弁当を取り出して。



「中庭、行こうか」

小さく笑って、そう言った。



中庭のベンチに座って、2人でのんびりお弁当を食べるのが僕らの日常。

雨の日は空き教室で食べてるけど。




「まひろちゃん、さっきの子達と最近よく話してるよね?」


「あ、うん……。真守くん、クラスで友達できた?」



すぐ話題を変えられた。
しかも、心底どうでもいい話題。



「……いらない」


「クラスで友達、作らないの?真守くんならきっと、すぐに友達、できるのに……」


「まひろちゃんと仲良くしてるだけで十分だから」



こうして、2人で仲良くしてるだけで満足。

2人きりで十分。



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