甘く苦い、毒牙に蝕まれて




それでも気にせず、泉川は続けた。




「きっと、潮時なんだよ」


【潮時】
その言葉は、虚しく響いた。




「……近藤くんは、まひろちゃんの本当の幸せを考えた事ある?」



本当の幸せ?
そんなの全然……。



「考えた事、なかった……」



すっごく癪ではあるが、泉川の言った事がずっと頭から離れてくれなくて、午後の授業は全く頭に入ってこなかった。



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