甘く苦い、毒牙に蝕まれて
「決別、したわけじゃない……」
この場にいたくなくて、教室に戻ろうと立ち上がった。
それを阻止するように泉川は腕を掴んできた。
行くな、と言ってるかのような強い力で。
「でも最近一緒にいないじゃん。前はあんなに依存してたくせに」
「あんたに関係ないっ……今は一時的に、離れてるだけで」
泉川の鋭い視線が突き刺さる。
こいつの目が、真っ直ぐ見れない……。
「いい加減、現実を見なよ。まひろちゃんはキミといない方が幸せなんだよ。簡単に言えば、あんたと離れたがってんだよ」
言われなくても知ってる。
当たってるだけに、胸が苦しくなった。