甘く苦い、毒牙に蝕まれて
あんなに一緒にいたはずなのに、彼女の顔を見るのが妙に久しく感じる。
一緒にいなくなってまだそんなに経ってないはず。
それなのに今じゃ、別々に過ごす事が当たり前みたいになってる。
「まひろちゃん、髪型……変えたんだね」
まひろちゃんはいつものツインテールではなく、ポニーテールにしている。
髪型が違うだけなのに、彼女が以前とは別人のようになってしまったように思えた。
「うん、あれは子供っぽいから……」
「それにまひろはこっちの方が似合ってるよ」
「ちょ、万桜っ!」
笑いながら彼女の髪に触れる如月。
照れくさそうに笑うまひろちゃん。
何だよ、見せつけてるつもり?
仲良いでしょ?ってアピールしてんの?
「お、おい近藤……どうしたんだよ」
ふざけんな。
触るなよ。
気安く触るな。
汚い手で触れるな。
まひろちゃんに、馴れ馴れしくするなよっ……。