甘く苦い、毒牙に蝕まれて



あんなに一緒にいたはずなのに、彼女の顔を見るのが妙に久しく感じる。


一緒にいなくなってまだそんなに経ってないはず。

それなのに今じゃ、別々に過ごす事が当たり前みたいになってる。



「まひろちゃん、髪型……変えたんだね」


まひろちゃんはいつものツインテールではなく、ポニーテールにしている。

髪型が違うだけなのに、彼女が以前とは別人のようになってしまったように思えた。



「うん、あれは子供っぽいから……」


「それにまひろはこっちの方が似合ってるよ」


「ちょ、万桜っ!」



笑いながら彼女の髪に触れる如月。

照れくさそうに笑うまひろちゃん。


何だよ、見せつけてるつもり?

仲良いでしょ?ってアピールしてんの?



「お、おい近藤……どうしたんだよ」


ふざけんな。
触るなよ。
気安く触るな。
汚い手で触れるな。



まひろちゃんに、馴れ馴れしくするなよっ……。


< 120 / 200 >

この作品をシェア

pagetop