甘く苦い、毒牙に蝕まれて
「あのっ、真守くんっ……ど、どうかした?顔色があまり良くないみたいだけど……」
まひろちゃんが心配してくれてる。
でも今は、それどころじゃない。
イライラする気持ちをどうしても我慢できなかった。
「ふざけんな……触るなよ……触るな、まひろちゃんに触るなっ……!」
大声で一方的に怒鳴り、如月に掴みかかった。
多崎は驚きを隠せないといった感じで、まひろちゃんは怯えていた。
でも如月は顔色ひとつ変えず、全く動じてないような感じで、その態度が尚更苛立ちを助長させた。
「何でっ……どうしてまひろちゃんなんだよっ!?あんたなら女なんか選び放題だろ!?まひろちゃんじゃなくてもいいだろっ……」
周りの目も気にせず、苛立ちをぶつけた。
「まひろちゃんは僕のなんだ……なのに何で奪うんだよ……急に現れて勝手に横取りすんなよっ!あんたさえ、転校してこなければっ……」