甘く苦い、毒牙に蝕まれて



自分で言ってて、虚しくなった。


こいつが現れなければ、僕らの関係は変わる事は絶対になかった。

……そう、胸を張って言える自信がない。


だってもしかしたら、如月が転校してこなくても、僕らの関係は変わっていたかもしれないんだから。



「……誤解しないでもらえる」


黙ったままだった如月がやっと言葉を発した。




「近藤くん、念の為言っておくけど俺は女の子なら誰でもいいわけじゃないから」


「え……」


「俺もまひろがいいんだ。まひろじゃないと、嫌だったから」



何だよそれ。

つまり、まひろちゃんが好きって事?

僕から本気で奪うつもり?


嫌な汗が背中を伝ったのがわかった。




「近藤っ!もう行くぞっ!」


いっそ如月を殴ってしまおうか。

そう思ったと同時に、多崎に腕を掴まれて、無理矢理その場から離されてしまった。







「びっくりした……まひろ、大丈夫?」


「うん……でも、真守くんが私以外の人と一緒にいる姿、初めて見たかも……」


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