甘く苦い、毒牙に蝕まれて
人の気持ちは、変わらないなんて確証は絶対にない。
簡単に変わってしまう程、呆気なくて脆い。
いつからだっけな?
まひろちゃんが僕を誘ってくれなくなったのは。
昔は何かする時、まひろちゃんは必ず僕を誘ってくれた。
でもいつからか、誘ってくれる事は徐々になくなっていって、今はいっつも僕の方から誘ってばっか。
連絡を取る時も、僕の方から……。
2年生になって、別クラスになってから、まひろちゃんは一度も自分から僕に会いに来た事はない。
離れてほしくない。
ずっと一緒にいたい。
このまま何も変わらないでほしい。
なんて、そう思ってるのはきっと僕の方だけなんだ。
「あー、5時間目の授業、結局サボったな。ほら近藤、ぐずぐずしてないでさっさと教室戻るぞ」
「……命令するな。授業サボったの初めてかも」
「俺も初だし……」
多崎と肩を並べて歩き、一緒に教室に入った時、周りの奴らはみんな驚いた顔をしていた。
そりゃそうだ。
犬猿の仲である僕らが一緒にいるんだから。