甘く苦い、毒牙に蝕まれて
「でも、真守くんの事……どうしても嫌いにだけはなりたくないって思うの……」
「まひろちゃん……」
「だから、もう私から離れて」
ほんと、優しいね?
嫌いになりたくないとか、離れてってお願いするとか……。
「真守くんは大好きだから一緒にいたいって言ってるけど、恋人同士でもない私達はそれだけの理由じゃ一緒になんていられないんだよ。もちろん男女の友情は成立しないって否定してるわけじゃない。中には恋人じゃない男女でも、良い友達関係を維持できている場合だってある。でも私達の場合は……きっと無理だと思う」
きっと、じゃない。
僕らの場合は無理なんだ。
このまま一緒にいたって、僕らの関係がこじれてしまう恐れは十分にある。
修復不可能な亀裂が生じてしまう可能性だって、否定できない。
「私達はもう、いい加減に決別するべきなんだよ……こんな言い方するのはおかしいけど、嫌いになってしまう前に離れてほしいの……」