甘く苦い、毒牙に蝕まれて
夜に泣き過ぎたせいで、次の日の朝は目が少し腫れてた。
「ま、いいか別に……どーせ誰も気づかないだろうし」
家を出て、学校までの道を1人で歩く。
中学時代はまひろちゃんに距離を置かれた時、僕は登校拒否を起こした。
でも今は、あの時と状況が違う。
辛いけど、決めたんだ。
彼女と離れてしまう事を……。
学校に着いて、教室に入って自分の席に座ると、真っ先にあいつが駆け寄ってきた。
「近藤くんっ!おはようっ!」
僕の目の前に立ち、満面の笑顔で顔を覗き込んできた泉川。
距離が、近いっ!
「あれっ?なーんか近藤くん、目が腫れてない?大丈夫?」
「別に、何でもないしっ」
最悪っ!
1番面倒な奴に気づかれた。
泉川を無視して、カバンから読みかけのラノベを取り出して、読もうとしたが、案の定それは取り上げられてしまう。