甘く苦い、毒牙に蝕まれて




多崎と泉川は、一応友達のようだが。


2人の間には少しだけ、距離があるように感じる。



距離というか、ギスギスしてるというか……。




「泉川が同性しか好きになれないのは、単に異性を好きになれないからだろ?もしかしたら、異性を好きになれない理由があるのかもしれないし……」


いつもベタベタしてきて、執拗につきまとってくるウザい奴だと思っていたが、あいつにもいろいろ抱えている事情があるのかもしれない。



そう思うと、ちょっとだけ胸が痛んだ。




「そうか……お前はそういうの、引かないんだ」


「まぁ、僕は普通に、恋愛対象は異性だけどな」


「笹川まひろにぞっこんなんだろ?フラれたけど」


「だから、フラれてないっ!」



なんとなく、深入りしない方がいいと思い、この話はこれ以上追及しなかった。


もし仮に、泉川と多崎の間に何かあったのだとしても、無関係の僕が下手に首を突っ込まない方がいいだろう。


< 147 / 200 >

この作品をシェア

pagetop