甘く苦い、毒牙に蝕まれて
「俺ら、近藤クンの事、なんか勝手に誤解しちゃってたみたいで……」
「近藤くんの事、悪い人だって決めつけて、本当にごめん」
別に、気にしてないのに。
わざわざ謝罪なんか、必要ないのに。
「白石、田辺、もういいから。僕はもう全然気にしてないから、あんたらも気にするのやめてくれる?」
僕がそう言った瞬間、白石が勢い良く抱き着いてきた。
「真守っちー!あんたって良い奴だなー!なんて心の広い奴なんだ!」
「ちょ、暑苦しいって!」
しかも「真守っち」って馴れ馴れしいっ!!
つーか多崎、何ニヤニヤしながら見てんだよっ!
「近藤くんって結構良い人だったんだね~」
「だなー!これから仲良くしようぜー!」
「だからっ!くっつくなよ白石っ!って田辺までひっついてくるなっ!」
暑苦しい連中、と思ったのと同時に、ちょっとだけ居心地が良いかもと思った。