甘く苦い、毒牙に蝕まれて
まひろちゃんとは決別したあの日から、連絡も取らず、話す事も、顔を合わせる事もない。
ただ、たまに見かけるまひろちゃんはいつも楽しそうにしていた。
隣にはいつも必ず友達か、如月がいる。
僕がいなくても、十分楽しくやってるんだ。
「そーいや気になってたんだけど、真守っちって彼女いるん?」
「なっ!何をいきなりっ」
昼休み、教室で机をくっつけてお弁当を食べながら、白石はとんでもない事を言ってきた。
おかげでむせた。
すかさず田辺がお茶を差し出してくれた。
「どうしてそんな事、聞くわけ?」
と、言ってお茶を飲んだ。
「俺さ、真守っちが女子と一緒にいるの何回か見かけた事あるんだよ。あ、でも最近は一緒にいないよな……」
多分、この質問に悪意はない。
白石は思った事をストレートに口にする奴だ。