甘く苦い、毒牙に蝕まれて
穏やかに流れる中で
【まひろSide】
真守くんと一切話さないまま、数日が経った。
彼の事だから、突き放してもまた、何もなかったみたいに話しかけてくるかもしれないと思っていた。
だから、全く接触してこない事に内心驚いている。
でも、真守くんと関わらない毎日はとても穏やかで、充実している。
「そういえば、最近あの幼馴染の子、来ないよねー」
お昼休みに、一緒にお弁当を食べている友達が急にそんな事を言った。
私はむせそうになるのを抑えて「そうだね」と言った。
「前はあんなに頻繁に来てたのに」
「まひろちゃん、あの子と何かあったとか?」
「何もないよ。幼馴染だからって、いつまでも一緒にいれるわけじゃないから」
遅かれ早かれ、決別する日はきてたんだ。
ずっと一緒にいようなんて、所詮は小さい頃の約束。
そんな約束は、もうとっくに無効になってたんだ。