甘く苦い、毒牙に蝕まれて
万桜は「ふーん」と言って、片手で頭をくしゃくしゃっと撫でてきた。
「長い時間を共にした人と急に別行動するようになったんだから、多少は変な感じがするだろ。でも、そのうち慣れて何も感じなくなるんじゃないの?」
「……そーかな」
そういうもんかな?
もう一度、真守くんの方に視線を移す。
どう見ても、明らかに私がいなくても大丈夫そうだ。
ちゃんとクラスに、自分の居場所を見つけてる。
今は複雑だけど、この気持ちも時間が解決してくれるのかもしれない。
「ところで、どこ行くん?」
「あ、ジュース買いに……」
「じゃ、これやるよ」
そう言って万桜は飲みかけのジュースを差し出してきた。