甘く苦い、毒牙に蝕まれて
「えっ、えぇっ!それって、飲みかけ……」
「何、不満?」
「不満では、ないけど……」
飲みかけって事は……。
私がそれを飲んだら、つまり……万桜と……。
モジモジして、なかなかジュースを受け取らない私に痺れを切らしたのか、
「文句言わずに飲め」
と言って、半ば強引に私の右手にジュースを持たせた。
そして友達とバスケをやる約束をしてるらしく、そそくさと走って行ってしまった。
残された私は、持たされたジュースをしばらく見つめていた。