甘く苦い、毒牙に蝕まれて
まひろちゃんと一緒に過ごさない夏は、やっぱりどことなく違和感がある。
それでも僕は不思議と、あまり寂しいとは思わない。
何故なら……。
「母さーん、ちょっと出かけてくるから」
「えー、出かけるの?家の掃除手伝ってもらおうと思ったのに」
「……友達の家に、行ってくるから」
「そう。行ってらっしゃい」
今日は、田辺の家に集まる約束をしている。
学校が休みになっても、あいつらとはほぼ毎日顔を合わせている気がする。
僕もそれなりに、毎日を謳歌している。
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集まったからと言って、特に何かをするわけでもない。
「あーあ、17歳の夏だってのに虚しいなー!たまには女子とも遊びてーなー!」
「まぁまぁ、こうやって4人で集まるのも楽しいからいいじゃん」
「どーせ暇だしな。特に近藤」
「黙れ多崎」
宿題もせず、雑談したり、ゲームしたりするだけ。
そして集まる時はだいたい田辺の家。