甘く苦い、毒牙に蝕まれて
単に集まってるだけで、大した事は何もしない。
実にくだらない時間かもしれないが、こんな時間も案外好きだと最近よく思う。
「あ、そういえば今日、駅の方で夏祭りやるね」
田辺がそうい言うと、白石は目を輝かせ始めた。
「よしっ!んじゃ、4人で行こうぜっ!はい決まりー」
ってな感じで、勝手に決めた。
夏祭りと言えば、毎年必ずまひろちゃんと行ってた。
必ず一緒に金魚すくいをやって、かき氷とかたこ焼きも半分こにして食べるのがお決まりだった。
「……近藤、いいのか?」
「え、何が?」
多崎が小さな声で聞いてきた。
2人には聞こえないように、耳元で。
「行く約束とか、してんじゃねーの?あの子と……」
「してないから」
「……そうか」
多崎はバツが悪そうな顔をした。
一応、「気にするな」と言ってフォローしておいた。
まひろちゃんは、如月と一緒に行くのだろうか?
そう考えただけで、胸に小さく痛みが走った。