甘く苦い、毒牙に蝕まれて




「私、このまま諦めるつもりないから」


私の言葉に、2人は「えっ」と驚いた顔をした。




「だって万桜は、私の事をすごく大事な存在だって言ってくれたんだよ?それって、私の事が好きって意味じゃないかな」


「ちょ、まひろちゃん!それは自意識過剰なんじゃ……」


「その解釈はちょっと、ね」



友達は否定的な事を言ってきた。

私は少し、苛立ちを覚えた。



「2人とも……絶対両想いだって言ってくれたじゃない。だったら応援してよっ!」



険悪な空気が私達の間を漂っていた。

丁度その時、チャイムが鳴ったので、急いで席に座った。



私の席は、万桜の隣。

告白の後で気まずさはあったものの、私は恐る恐る万桜に声をかけた。



「あの、万桜……今日も放課後、一緒に帰ろうね?」


そう言うと、彼はいつものように笑って「いいよ」と言ってくれた。




< 183 / 200 >

この作品をシェア

pagetop