甘く苦い、毒牙に蝕まれて
しかし、私の願いも虚しく、万桜は宮原さんの告白を受け入れた。
2人は恋人同士になってしまった。
「万桜くんっ」
付き合いだしてから、2人は一緒にいる時間が増えた。
宮原さんは弾んだ声で万桜の名前を呼び、体を寄せ、くだらない話をする。
それに対して万桜は優しく耳を傾けている。
「ねぇ、今日も一緒に帰れるよね?」
「うん、一緒に帰ろう、律夏」
呼び名はいつの間にか、苗字から下の名前に変わってる。
彼が私以外の女の子を下の名前で呼んでいる。
その事に私は酷い嫌悪感を覚えた。
2人が付き合いだしたと同時に、私は万桜と一緒にいる時間が減ってしまった。
万桜を宮原さんに、奪われつつあった。