甘く苦い、毒牙に蝕まれて
万桜と距離ができてしまった私に、友達はとても気を使ってるらしい。
「まひろちゃん、今日よかったら合コン行かない?」
「たまにはパーッと遊ぼうよっ!」
「……」
きっと、万桜に失恋したかわいそうな子だって思われてるんだ。
気を使ってるのが手に取るようにわかる。
「合コンの相手は、名門校の人でねー、かっこいい人ばっかだよ?」
だから何?
合コンに行って、新しい恋をしろって言うの?
もう万桜の事は諦めろって事?
「2人とも、薄情だね」
「え?」
「まひろちゃん……?」
友達2人を、軽く睨みつけた。
「あんなに私と万桜の仲を応援してたのに……それなのに、万桜に彼女ができた途端、合コンなんてすすめてきて……友達なのに、何で応援しようとしてくれないの?」
「だって……告白したけど、ダメだったんでしょ?」
「しかも如月くんは宮原さんと付き合いだしたし……どう考えても、ね?」
「まひろちゃんのために、はっきり言わせてもらうけど、もう諦めるべきだよ。如月くんの事は忘れて、新しい恋愛に踏み出すべきだと思うよ」
どうして、そんな残酷な事が言えるの?
諦めろだなんて……そんな簡単に……。
「まだ、諦めないから。だって、万桜が宮原さんの事を好きなわけない。あんな泥棒猫に万桜は渡さない」
「なっ、何言ってんの……?」
「私は、無理矢理にでも宮原さんから万桜を取り返すつもり。それにね、万桜が1番大切に想ってる女の子は、絶対に私だと思う」
あの2人が恋人同士だなんて、絶対に認めない。