甘く苦い、毒牙に蝕まれて
「俺、あいつとは中学の頃からの友達なんだけど……正直、嫌いなんだ。いっつも偉そうなあいつが。でも、逆らう勇気もなくって。だから、内心では嬉しいんだよ。近藤くんが多崎に突っかかってくれて」
泉川の右手が、頬に触れた。
その瞬間、全身に鳥肌が立った。
こいつ、気持ち悪い。
「今までずっと、傍観しててごめん。でも……これからは、仲良くしたい。本当はずっと、近藤くんと話したかったんだ」
右手が頬から、首筋に移動した。
……触るな。
「ベタベタ気安く触るなっ!お前みたいな気持ち悪い奴と仲良くなんて、絶対にお断りだっ!」
片手で泉川を軽く突き飛ばして、逃げるようにその場を離れた。