甘く苦い、毒牙に蝕まれて
「名前……なんていうの?」
「笹川、まひろです」
「……笹川まひろ。ふーん、そっか」
意味あり気な笑みを浮かべた。
かと思ったら「よろしくね!」と愛嬌たっぷりの笑顔を向けてきた。
よくわからない子だな。
1時間目が終わって、隣の如月くんの席にはあっという間に人だかりが。
「ねぇねぇ、昼休み、学校案内してあげる~」
「わからない事があったら何でも聞いてね」
女の子達は、甘えたような声でまとわりついてる。
早速、モテてるなぁ。
悠長な事を考え、次の授業の教科書を用意していた。