甘く苦い、毒牙に蝕まれて
ドキドキを誤魔化すように、慌てて教室を飛び出した。
トイレの鏡で見てみると、普段とは少し雰囲気の変わった自分が映っていた。
髪型がポニーテールに変わっただけで、ちょっと大人っぽくなった感じがする……。
トイレを出て、教室までの廊下を歩いていた。
するといきなり後ろから髪の毛を引っ張られた。
「きゃっ……!」
「やっぱまひろちゃんだ。髪型違ったから一瞬わからなかった」
「あ、あなた……」
この子は確か……。
「泉川くん……」
「せーかい。覚えててくれたんだ。記憶力いいね」
ニコニコしてる、のに。
やっぱ冷たい。
私を見る目が、氷みたいに冷たい。