甘く苦い、毒牙に蝕まれて





「まひろちゃん、早く帰ろう」



靴を履き替えて、真守くんと玄関を出た。


結局今日も、一緒に登下校か。



小さくため息をついた。

その時だった。



「まひろ、走るよ」


「え?」



耳元で小さく呟かれた声。

次の瞬間、手を強い力で引っ張られた。


振り向くと、真守くんが呆気にとられたような顔をしてた。



私の手を掴んで一目散に走ってるのは、紛れもなく。


「如月くん……」


< 74 / 200 >

この作品をシェア

pagetop