甘く苦い、毒牙に蝕まれて
なんか、ヒーローみたい。
しばらく走ったところで、ようやく足を止めた。
「ごめんな、まひろ。勝手に手引っ張って、連れ出しちゃって」
はぁはぁ、と息を切らす私とは対照的に如月くんは涼しい顔。
私は首をフルフル振って、呼吸を正しながら。
「ううん……ありがとう」
お礼を言った。
ビックリはしたけど、嬉しかった。
私を真守くんから連れ出してくれた事が……。
「なんかさ、まひろがすっごく嫌そうにしてるように見えたから。放っておけなかった」
私、そんなに露骨だったのかな?