甘く苦い、毒牙に蝕まれて
「まひろは優し過ぎるんだよ。このままじゃ一生幸せにはなれないね」
彼は視線を窓の外に移した。
頬杖をついたまま、どこか遠くを見つめる彼の姿に少しだけドキッとした。
こんな状況で、不謹慎だ……。
「ちゃんと、白黒つけた方がいい。思い切って、近藤くんを突き放したらどう?」
「……」
「一緒にいても、苦しいだけなんでしょ?」
私は何も言えなかった。
彼も何も言わなくなった。
ゆったりとした空間のカフェで、私達の周りを漂う空気だけは重かった。
「……行動しないと、何も変わらないよ」