甘く苦い、毒牙に蝕まれて
「まひろの事、もっと教えてよ」
「えっ、私の事?」
「そっ。もっとまひろの事、知りたいなって思って」
「っ」
そんなストレートな言い方は、ズルい。
期待しそうで怖いな。
「じゃあ、万桜にだけ特別に教えるね。私の秘密を」
「そんな重大な事、話していいの?」
「うん、いいの」
そう言って私は両手で前髪を上げて、額を露わにした。
前髪を上げる事なんか、普段は絶対にない。
「ここ……小さいけど、傷跡があるでしょ?」
額の左上部分を指差した。