甘く苦い、毒牙に蝕まれて
決して大きくはない。
約3センチくらいの傷跡。
「あ、本当だ……」
「覚えてないんだけど……私、小さい頃に交通事故に遭ったらしいの。その時にできた傷なんだって」
「……」
この傷跡は真守くんにすら見せた事がない。
人に見せたのは初めて。
万桜なら、いいかなって思った。
「そっか。だからまひろは、いつも前髪を下してるんだ」
「うん……なんとなく、コンプレックスに感じてて」
「わざわざ、教えてくれて、ありがとう」
肩に腕が回され、ぐいっと抱き寄せられた。