正義の味方に愛された魔女3
1 泊まり込み捜査

2月半ばの早朝。


事件の捜査で泊まりになる、と龍二から連絡があり、二日間、帰ってこなかった。


ロッカーに置いてある着替えが無くなるので、追加分と差し入れを持って、
私は事件の本部になっている署内の会議室を訪れた。


普通は部外者立ち入り禁止ですよー。
でも、長年、捜査協力をしてくれている『ボスの女』で、
心を視る力を持っていることを直属の部下さん達は知っているので図々しく入って来られるの。
本当に図々しいよね、うん。
ルール破ってごめんなさい。


「これ、みなさんで召し上がってください。
寒いですからね、温かい内に、ここに居る方達からどうぞ」


さっき作ったまだ温かいおにぎりと、
鍋ごと新聞紙とその上から毛布でくるんできた豚汁、
途中コンビニで調達してきた紙の深皿と割り箸をドサドサッと机に置いた。


《いや、これはボスより先に食っちゃまずいだろ。
仮眠中だしなぁ……起こしてくるか?》


「いいのいいの、ボスは起こさないであげて下さい」


「い、いやー百合さん、ごちそうになります。
すんませんね。新婚なのに…」


あれ?碓井さん昨日怪我したの?
碓井さんは、50代のベテラン刑事さん。


「いえいえ、そういうお仕事ですから。
碓井さん、病院に行かなきゃ…骨折れてたらどうするんですか?」


「参ったな……ボスに言わないでくださいね?
たぶん動かせるから打撲か捻挫でしょ。
大したことないですよ。
このヤマと関係ない件でちょっと…。
病院ったってレントゲン撮って湿布貼るだけでしょ、結局ここで出来ることと変わりません」


「体が資本ですから、大事になさってくださいね?」




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