正義の味方に愛された魔女3


「おい!てめぇコラ!何やってんだ?!」


は、隼人さん?
良かった。助かりました……。


隼人さんは、その男の子を捕まえたまま、直ぐに百合さんに電話してくれて、


「母さんの所に拉致る。
龍二さん帰ってくるまで俺がみっちり話聞いてやっからな、引きこもりの糞ガキが!」


たぶん、もう隼人さんはこの男の子がどういう子なのか、百合さんと同じく、分かってしまったのでしょうね?

悪いことは出来ませんよ、そういう人には容赦しない悪魔でしょうからね。


百合さんの言うように閉店まで居ればよかった。
結局これじゃ同じことになりそうだし、隼人さんにも荒川さんにも面倒かけてしまいますね。


それにしても…隼人さん、
そっちの手で男の子の腕をガッチリ捕まえて、
こっちの腕で私の………肩を抱き寄せてくれているんですが……。

ドキドキドキドキ…もう、心臓壊れちゃいます。


「あの、もう、大丈夫なので、一人で歩きますよ。そっち、捕まえていてください」


「あー、ごめんね…。
沙耶ちゃんが泣き止むまでと思って……。
俺は面倒じゃないよ?大変なことにならなくて、間に合って良かった。
こんなことがもう起こらないように、きちんと解決しとかないと。たぶん龍二さんもそう言うよ」


あれ?私、泣いてた?あ…涙。気がつきませんでした…。
ほら。全部わかっていて、私よりわかってくれていて、優しくしてくれます。


ちっとも悪魔なんかじゃありませんよね……。




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