正義の味方に愛された魔女3
「あのね、隼人さん…。

最近までお付き合いしてた元カノさんとか、今までの方とか、
きっと、綺麗で大人で素敵な人達だったと思うんですよね。

でも私は、年もずっと下だし、子供っぽいし、全然釣り合わないのはわかってるんです。

だから、あの、私が勝手に……あの……お、想っていても、いいですか?」


「……沙耶ちゃん……。
俺ね、女の子を好きになったこと、ないんだよ」


「え…でも彼女が出来たらその人のことを…」


「本気で好きになれたら良かったんだけどね……。

視えるっていうことはさ、普通に誰にでもある『自分の嫌な気持ち』までしっかり視えてしまうんだ。

俺って心が広い男じゃないんだね。
そういうのが視えると、表と裏のギャップが大きい人ほど信じられなくなるんだよ。

本気で好きで付き合ってる訳じゃなかったんだよ。
そんな気持ちで女の子と付き合っちゃいけないよね」


《そんな…苦しい恋愛をしてきたのね…。
でも、力を持っていても、百合さんと荒川さんはとっても幸せそうだけど…》


「うん、あの人達はね、龍二さんの器の大きさのお陰で、あぁいう感じなんだよ。

龍二さんは、母さんに、心の奥まで全部さらしてるんだ。
全部ってわかる?
男の人の、それも40年生きてきた人の、マイナスな気持ちってどれだけあると思う?

ちなみにアラフォーのエロオヤジだよ?
イケメンだから許されるとか、そういうことじゃないし。

……それをね、全部さらしてる。
それほど母さんのことを信頼してくれているんだ。

視せるだけじゃなくてね、龍二さんは母さんのことを丸ごと理解して受け入れてくれてる。
すごく羨ましい関係なんだよね」


《イケメンのアラフォーのエロ親父……。
なら、隼人さんはイケメンのアラサーのエロ兄貴……って、そこに食いついちゃダメでしょ。

心の奥までさらしてる荒川さんって、強い人……見た目も中身も。

おまけに百合さんは、大人で優しくて可愛い性格だから……。

なんだか胸にじーんと来る話で、泣けてきたな。
いけないいけない。泣くときは、失恋した時よ……》


< 23 / 36 >

この作品をシェア

pagetop