それでも君が
「別れるついでに言っとくわ。
女なら皆これあげとけば喜ぶとか、存在しないから。
浩二さんはいっつも有名ブランドの一番有名な物くれてたけどね!
女は皆金のかかるブランド物あげれば喜ぶと思ってる所、嫌いだった!」


一気に捲し立てると、すっと扉から出ていき乱暴に閉めた。
かと思いきや、一呼吸入れてから、五センチほど隙間を開けてこちらを覗き、


「さ!よ!な!ら!
くそ甲斐性なしのおっさん!!!」


そう吐き捨て、必用以上に音をたてて廊下を歩いてく。
玄関がぴしゃりと閉まった音を聞くと、全身の力が抜けていくのが分かった。
床にへたりこむと同時に、あげたプレゼントがころころと床をころがって行った。


「女は可愛いブランドあげときゃ喜ぶって…………違うのかよ………」
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