それでも君が
「私のこと…本当に好きだった?」


細かく何度も吐息が混じる声は、辛うじて聞き取れるかな?くらいの小ささだ。


「私はね、浩二さんの事好きだったよ」
「俺も…」
「そうかな?惰性じゃないの?」
「そんなことな」
「あるよ!」


声を荒げ、そこでやっと振り返った彼女の顔は泣き顔だった。


「私、浩二さんと結婚したかった…。優しすぎて貧乏くじ引いちゃうとことか、ちょっとバカでも、でも、そんなところも好きだった」
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